広い宇宙の中ただ一つ生命を持った地球。いや本当は一人ではないはずだ。 澄み切った夜空の向こうに満月が見える。 こんな夜は何だか胸騒ぎがする。 ずっと心の中にしまいこんでいた思い出。そんなようなものだろうか。 とその時だ。夜空にすっと一筋の光が横切った。む何だろう。またすっとである。 その日はそのまま、眠りについた。明くる日は今日の続きが来るはずであった。 |
「何だか落ちた隕石は見つからないらしい」 かろうじて何とか近づい見えたが、あたりは焼け焦げた跡しかない。 とその時だ。 『ゴッゴル』 頭の中で何かが弾けた。強烈なイメージの洪水。 『ゴッゴル』 その場に倒れこむ。 |
自宅に戻ってからも頭の中ではゴッゴルが鳴り響いている。一体これはなにものか。 ゴッゴル おびただしい光が目の前に襲ってきた。 ゴッゴル あふれ出る未知のイメージ ゴッゴル 現実感の喪失 ゴッゴル きわめて厳格なポリシー ゴッゴル ほんやりとした境界線 ゴッゴル 前方の光、後方の闇 ゴッゴル、ゴッゴル、ゴッゴル。 |
気がつくとむわっとした、熱気があたりを包んだ。地下に続く階段は懐中電灯の光に照らされた一条の光が底のほうまで伸びていた。 ここはどこだ。カサッと背後で音がした。つけられたかと振り向くと何も無い。気のせいかと安心していると別の方向からカサカサと音がした。 「ハァ、アッはあ、ハア」 「そこまでだ」 |
急いで階段を上る。外に出る。どうやらうらさびれた倉庫街のようだ。 ドリフトをかけながらきついL字状のクランクを回りきった。後方で衝突音。 |
とそのとたん、車は大きく段差を乗り越えた。 「どうやら済んだようね」 |
彼女は砂浜に車を止めた。 |
ゴッゴル 目を閉じると、光の洪水に包まれた。 ゴッゴル 体の自由が利かない。何か熱い。 ゴッゴル 脈打つように流れるエネルギー。 「うわぁぁ」 --おしまい-- |